猫と谷中とはっちゃけ親父

katakanize2009-08-17

13日、帰省。


実家の白猫は、再会するたんびに「誰アンタ」みたいな及び腰な態度で、毎回思い出してくれるまでに若干の時間を要するのだけれど、メシの欲しい時は委細構わず擦り寄ってきたりもする。そんな打算的な彼が、なんだかんだ言っても可愛くてたまらんのです。愛でに愛で倒してやったわ。

近況の報告、その他の雑談。時期を逸して渡しそびれてしまっていた、父の日/母の日のプレゼントを、今さらながら渡す。父には文庫本状のメモ帳(しおりつき)とブックカバー、母には桜のお香と磁器製の香立て、二人宛に二枚一組で飾れるフォトフレームを。ガンガンに使い古してくれると良いなあ、と思う。


15日、上野に『ル・コルビュジエ国立西洋美術館』を観にゆく。

コルビュジエ関係の書籍やら、以前に観た別の展覧会で既知の事柄も多く、目新しさっていうのは特になかったけど、展示内容がそのまま展示会場とリンクしてるっていうのが、なんかメタな感覚で面白かった。建物自体に移動する楽しみが感じられるような構造をしていると感じた。19世紀ホール→スロープ→常設展示室→新館っていうルートの、その動線のリズム自体に、妙にワクワクさせられるっていうか。

同時開催されていた『かたちは、うつる』展も観覧。美術館所蔵の版画作品の企画展。ゴヤの『ロス・カプリーチョス』関連の作品もいくつかあった。油彩画はとみに顕著だけど、この人の作品の「黒」には、えも言われぬ深遠な「おっかなさ」みたいなものがある、と思う。単なる陰翳とは言い難い何か。夜中の海岸で真っ暗な海の向こうを見つめてるような。『陽気の妄』とかまさにそんな感じ。うまく表現できないんだけど、なんかじわじわ・ひたひたと怖ぇの。

谷中に流れて、ぽつぽつと散策。横路地に入り、『nakamura』という靴屋に立ち寄る。オーダーメイドの革靴・サンダル・鞄なんかを製造・販売しているお店。ここのサボがすこぶる可愛らしい。装飾性・儀礼性を排して考えると、靴の形状の理想型というのはサボに集約されるのではないか、と最近は考えていたりします。ビルケンのボストンとかも良いけど、どうせなら自分の足にジャストフィットな一足を作ってもみたい。

てな事のたまってみても、悲しい哉先立つものも大して持ち合わせていないので、ひやかし気味に退散し、千駄木方面へブラブラと。『不思議(はてな)』という古道具屋で下写真の書籍に非常に心惹かれ、一も二も無く購入。

昼飯も摂らんと歩き通しだったので、よみせ通りの洋食屋で遅めのランチ、もしくは早めのディナー。東東京の香り漂うイイ感じに鄙びた雰囲気のお店。店の佇まいに反して、おっちゃんの所作は注視してしまうくらい手際良く軽妙で、メシもなかなかどうして旨い。てか充分に旨い。こういうのがホントの穴場っていうのかしらねえ、とか思ったり。場所のヒントとしては、よみせ通りのアーチをくぐって、『やなか珈琲店』〜谷中ぎんざの中間あたり、左手側。店構えにはちょっと二の足を踏むかもだけど。


16日、かげわたりの練習。現在のメインレパートリーと、ある催しのための練習も兼ねて。

おぼろげではあるけど、カラダでリズムの「軸」をつかむときの、意識すべきパーツやポイントみたいなものが、解ってきたような気がした。丹田で躍るってな感じ。あとやっぱ、ディテールをひとつひとつ大事にするってことが何より。下手糞が小手先の「出来てっぽさ」に飛びついてちゃだめってことか。


家常さんから、ドラミングの参考にってことで教えてもらったYO LA TENGOのライブ映像。それはそれとして、カプランさんが全体的になんだか妙なテンション。2:00前後が特に。面白いんだけどかっけえ。けどやっぱ面白い。なんなんでしょうこの感じ。PIXIESとかもそうだけど、ビジュアルとは別の部分での美しさを感じさせるバンドっていうのは、往時は言わずもがな、この時代においてはなおのこと貴重だと思う。