いろいろなものをみた

12日、ひさびさにコチラに出て来たタケイチ君の誘いで、パシフィコ横浜に『くるり ふれあいコンサートファイナル』を観に行く。

ウィーン・アンバサーデ・オーケストラと合同のオール着席制のコンサートという形式、途中に15分の休憩を挟んでの二部構成で、なんというか普通のライブと勝手が違って、戸惑いつつも珍しい体験。正直前半は眠気が襲って来たりもしたのだけれど、休憩明け2曲目の「惑星づくり」で目が覚め、「ARMY〜アマデウス〜家出娘」という個人的にたまらない流れに浸り、終盤近くの「ワールズエンド・スーパーノヴァ」でサブイボが立つ。アンコールの「ハローグッバイ」も良かった。

しかしこうして顧みると、自分が好きなのは「ある時期までのくるり」なんだなとも思う。ベタだけど「東京」とか、「ブルース」とか「マーチ」とか「スケベな女の子」とかも聴きたかった。くるりのライブに最後に行ったのはもう随分前のことだけど、その頃と比べて客層もだいぶ変わったと思う。カップルもしくは女の子同士というのが大半。男二人連れで来てたのは僕らくらいのものです。

タケイチ君は2月に観劇でまたこっちに出てくるらしく、その目当てである「France_pan」という劇団を教えてもらう。webサイトなど調べてみると、なかなか美術に力の入った感じの劇団。しかもそのベクトルが単純にオシャレな方向には向いていない。フライヤーのデザインもすごくいい。個人的に、フライヤーのいい劇団は信頼できる(?)劇団だと思っているので、こりゃ是非観に行かにゃと思う。


15日、かげわたりのライブのパンフレットを渡しに一旦六本木・EDGEに立ち寄り、リハを観たあと、『クロッキオ』でお世話になった俳優の井出君が出演する、アロッタファジャイナ・青木弟組公演『地下室の労働者』を観に渋谷のギャラリー・ルデコへ。

日本人ではないけれど何人なのかは分からない男女4人がどこかの地下室に監禁され、目的のよく分からない労働に従事させられるというような話。パンフレット等を見ると「日本語を排することで生まれる表現」みたいなものを標榜しているようだったが、いまひとつ、その必然性が見えてこなかった。交わされる言葉は確かに日本語ではない言語なのだけれど、俳優の人たちの演技は、日本語で思考したものを非・日本語に変換して出力しているだけのようにも見えた。あと、言葉が説明的な用を成さない分フォローしようとするのか、演技が説明的というか大仰になりがちで、その齟齬にもちょっともったいなさを感じた。むしろ正攻法で日本語を用いて芝居をするか、言葉そのものを排してしまったほうがすっきりして見える気がした。

でも、バックグラウンドについてあまり多くを語らず、その場の現象だけで見せていく感じは良かった。閉塞感やあきらめや無力感みたいなものは、すごく良く出てたと思う。身贔屓する訳じゃないが、井出君の演技も、作品の方向性や劇中の自分のポジション、自分の演技の特性を最もよく理解しているようで、かなりハマっていた。けして器用なタチではないけど、井出君なればこそというようなものを確かに持っていると思う。また別の作品で、この集団の表現を改めて観てみたいと思った。

終演後、井出君と話し、いろいろと励みになる言葉を貰う。報いるためにも自分のためにも努力せねばなーと思ったりした。

六本木に戻り、かげわたりのライブ観覧。

いつもは手持ちでウロウロしながら撮影しているのだけれど、今回は定点で撮影することにして、いち観客に徹してみた。今年最後のライブということもあるのか、いつも以上に内的テンションが高まってる感じのライブだった。特に、ギター鈴木君とベース宮嶋君の動きが格段に良くなった。ステージの上でどう立つべきか、ということに全員自覚的になってきたということなんだと思う。たぶん課題はまだまだあるけど、今年の締めくくりとしてはいい感じのライブだった。

撤収後、酒飲み数人で池袋に流れてプチ打ち上げ。いつものごとくあてどもない駄弁に興じ、3時頃解散。ふらつきながら気持ちの良い夜でした。